密輸や詐欺被害の金地金、大手貴金属会社の「刻印」偽造し売却か…中国籍の男ら8人を容疑で逮捕

 大手貴金属会社の刻印を偽造した金地金を買い取り業者に売却し、代金をだまし取ったとして、警視庁が中国籍で貿易会社役員の男(39)(東京都渋谷区)ら男女8人を詐欺と有印私文書偽造・同行使容疑で逮捕したことがわかった。同庁は、金地金が密輸や特殊詐欺でだまし取られた金塊を加工したもので、グループが3~7月に同様の手口で計約95億円を詐取したとみている。

 他に逮捕されたのは、別の貿易会社役員の男(47)(千葉県柏市)や中国籍の男の会社の従業員ら。

 捜査関係者によると、8人は共謀して3~4月、東京都内の買い取り業者2社の2店舗で、偽の刻印が施された金地金計38本を正規品と偽った証明書を示して売却し、代金計約6億円を詐取した疑い。逮捕は12日。

 中国籍の男が指示役で、複数のチームに分かれて業者に持ち込んだとされる。詐取金は別の貿易会社役員の男の会社の口座に入金後、暗号資産に交換されていたという。

 同庁は、金塊を詐取する手口の特殊詐欺事件の捜査で、今年5月頃から刻印が偽造された金地金が出回っているとの情報を得て調べを進めていた。グループが売却した金地金には一般的なものと同様、貴金属会社のロゴやシリアル番号などが刻まれていたが、同庁が製造元に照会したところ、実在しない番号だったことが判明したという。

 一般社団法人日本貴金属マーケット協会(東京)によると、金地金の刻印は品質や価値の保証となり、取引業者は証明書も確認した上で、買い取りの可否を判断している。刻印がない場合は、取引しないケースが多いという。

 外国から日本に金を輸入する場合、税関で消費税を納める必要があり、同庁は密輸品については納税を逃れた上、消費税を上乗せした価格で売却し、利ざやを稼いでいたとみている。

 金は価格が高騰しており、国内の金価格の代表的な指標となる田中貴金属工業の店頭小売価格(1グラム当たり、税込み)は14日午前9時半現在、2万2976円となっている。